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last modified Aug 21 2010

これは遠い昔の、掲示板時代から、綴っていた日記のようなレビュー群です。
掲示板から、以前のWebにて執筆、今回のリニューアルにて、文章もつたないし、消そうと思っていたのですがリクエスト多かったのでしばらく掲載しておきます。

2010
January 2010
William Shatner/ Has Been [−/−/−]

勿論いわずもがな、Star Trekの カーク艦長なわけでして、当時もMr.スポックことレナードニモイとならんで一枚、スポークンレコードを残していて愛聴していたわけですが、2004年になんと驚愕のセカンドが出ていて話題になっていたというのはまったく青天の霹靂で不勉強もはなはだしいということで聴取。なんと、ベンフォールズが全面的にプロデュースというか製作総指揮みたいな感じでゲスト陣もジョージャクソンやらエイドリアンブリューやら大挙して参加。ベンフォールズのセンス爆発なノスタルジックなパワーポップチューンから酒場でいい感じのブルージーなやつとか盛り沢山で非常に楽しい一枚。しかししかし、おそらく御年72歳くらいだったと思うのだけれどもその現役感溢れるだけでなくその来し方から由来するとしか言いようの無いあまりに豊穣な声に心が折れる。サビの部分で曲名を歌いこむのを追いかけ補完、楽曲のもつ使命みたいなものを完遂/衝天させるようなあまりに音楽的な声に息の根を止められるような錯覚に陥る午前四時。
(01/27/2010)

Paris 1942 / S.T. [−/−/−]

1995年にひょっこりリリースされたSun City GirlsのAlan BishopとかのMaureen Tuckerが中心になって活動していたこちら、その二人の名前が連なっているだけでももう想像がつくというかもうトラッシーなVUに非常にややこしい80's USインディ−の実験精神というか遊び心というかそういったものがw横溢してとっても素晴らしいレコード。LAFMSやハーフジャパニーズなどと横一線に硬く連なっている鬼っ子盤。モー女史のその変わらぬジャングルビートに嗚咽。思わずPlayin' Possumにも針を落としてしまう始末。
(01/24/2010)

Chet Baker / Sings : It Could Happen To You [−/−/−]

かの「シングス」のあおりを食ってる感も非常に色濃いこちら。周りではその評価は真っ二つに分かれる彼の歌だけれども俺は勿論大好きというのもはばかれるくらいのもので、ひとたび聴き始めるとそれはもう中毒みたいな門で昼夜を問わず祭りとかしてしまうのが常。非常に正確なピッチ、しかしそれをぼやかしていくような糖衣錠の甘い声の震えがとても瑣末で打ちひしがれた心に響く。冒頭の「Do It A Hardway」にだらけた来し方を叱責、襟を正す。
(01/21/2010)

Jean Ritchie / The Most Dulcimer [−/−/−]

どこまでも夜の手が伸びてくる真冬の底、1月ももう半ば。新年気分はすでに消えうせて街はいつもどおりの慌しさを取り戻しているように見える。こんなやくざな越し方ももうにじんで見えなくなっているけれどもそのどこまでも透徹した夜の瞳に照らされてかの' Singing Ritchies of Kentucky'の嫡子Jean Ritchieに心の耳を傾ける。イギリス/スコットランドの伝承歌、マウンテンミュージックをその煌びやかだけれどもはかなく減衰するダルシマーと歌い継いでいくその声。どんなに時代が過ぎて「文化」「文明」というものの意味が変容しようとも「生きる」という行為の源泉はいつまでたっても同じ。心の襞から掏れ滲んでくるある情動みたいなものに行くしを奪われて機と立ち止まることもあっていい。当たり前だ。もうすぐ夜も明ける。
(01/14/2010)

Don Cherry / The Sonet Recordings [−/−/−]

朝方、ようやく雑務もキリがついてぼやぼやもやもやアコースティックギターなど引っ張り出してつらつら弾いていたら急にこのCDが頭をよぎり聴きたくなったのだけれども書斎といえば聞こえはいいけれどもまあ、いわゆるカオスの底、迷宮の中、散在する棚という棚、段ボールという段ボールをひっくり返し続けてようやく見つけることができてとても嬉しい。孤高という言葉がまさに相応しい彼の非常に色彩豊かな道程の中、70年前後にSonetよりリリースしたEternal Flow/live in Ankaraを収録していて確か下北沢の今は亡き某店で連れを待っているさなか目押しして抜いたのだと思うのだけれども俺は彼の秀作ぞろいの諸作の中でもEternal Flowが一番好きで下手したら10年以上ぶりに聴取したのだけれどもそれはやはり間違っていなくてそのくぐもった音からどろりと滲み出してくるゲル状のこの星の涎みたいなものにずぶずぶと入り込んでいきながらも音の海を泳ぎぬけていくようなある意味においての軽妙さが本当に素晴らしい。
(01/10/2010)

G. F. Fitzgerald / Mouseproof [−/−/−]

彼の名前をはじめて知ったのはご他聞に漏れずフリスのGuitar Solos 2でなのだけれども数年前、こちらの1st(といっていいのか)がひょっこりサンビームから再発されていたのを勿論髯山先生にむりくり買わされたのだけれどこれがあの変な(失礼)ギターでの小品にも勝るとも劣らず奇妙で分裂感満載のレコードといってもそれは一般的な見方でとてもプログレッシブかつ素晴らしいサウンドトラックに必ず包含されているいわゆるスピード感/極彩色の乱射するイメージの豊穣な羅列とでも言おうか山手線に特急があって猛スピードで駆け抜ける車窓(というのもなんだけれども)から新宿駅の煩雑なホームを眺めているようなローラーコースターを地で行く叡智。しっかりとしたソングライティングと圧倒的な構成力にはザッパをも髣髴させるのだけれども何故セカンドが作られなかったのか不思議でならない。John Peelの70年のベストに選ばれていたというのも頷ける稀代の奇盤ではなかろうか。
(01/08/2010)

Pidgeon / Pidgeon [−/−/−] 

あのグラムロックの仇花とされていて俺の周りに根強いファンの多いジョブライアスがソロデビュー前に参加していたバンド「Pidgeon」が1969に米デッカに残した唯一のアルバム。その後の騒動とまで言ってしまってもいいと思うのだけれども過剰なグラム感(音楽よりその他の面)とはある意味すっと離れた非常に真摯なサイケデリックの旨み成分が顆粒上にまぶされた渋い混声フォークロックが聴くことができる。非常に地味かつ滋味に溢れたレコードですが、DUとかにあったりすると確実に500円とか800円なので興味のある方はぜひ救出してみてほしい。
(01/06/2010)

Various Artists / An Anthology Of American Folk Music [−/−/−]

明けましておめでとうございます。がやがやざわついていたいわゆる「ゼロ年代」とかなんだかいわれてるものは全然解らないですけれども、2010年になってもこの赤箱の中に入っている音楽の豊穣さは衰えているどころか益々輝きを増して俺の心とヘッドを貫いてくる。なにが絶望で何が虚無だかしらないけれどもこの赤箱は全ての始まりであり全ての終わりでもあり、血塗られた20世紀のレクイエムいや、黙示録たらんとしている。しかし、ここは確かいつか来た道であってまた見知らぬ街角から流れてくるフィドルの調べに明日の行方を任せてみようと思った人間の数だけ贖罪の光は茫洋と滲みある確かさを持って漆黒の空を突き抜け、浚っていく。何度もいうけれどもここが全ての始まり、いや全ての終わり、Nowhere Manの吐いた唾みたいが幾千の夜を越えて変容に次ぐ変容をとげ今俺の手首にあるしこりとなっていきづいている、のか。今年もよろしくお願いいたします。
(01/04/2010)


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